１、起

人生とは選択の連続だが、そこに正しい選択というものはあるのだろうか。

　２、散歩の選択

私は毎朝、理由がなければ散歩に出かける。

行き先もコースも定めておらず、家を出た瞬間から選択ははじまる。

　右か左か。大通りか裏通か。

　右の道は歩きやすような道だ。裏通なら車が通らず静かだ。

そのように選択の理由を考えてみるが、正直そんなものはどうでもいい。

重要なことは、毎朝、自身の内側から湧き上がる意思によって、

心の平穏を得るために散歩という手段を使っているだけにすぎないのだから。

しかし、私たちは選択の結果に正しさを求めようとする。

　新規事業に投資するか、既存事業に投資するか。

　客数を増やすか、単価を上げるか。

成功者と呼ばれるものも、庶民と呼ばれるものも、選択の結果により何かを得るが、

ささやかの理由で、そんなものはすぐに無くなる。

結果とは、地位・名誉・金銭といった欲と同じであり、

それを人生を賭けて求め得たとて、そこには次の結果と欲しか待っていないだろう。

そこには心の平穏は存在しない。

　３、正しい選択ではなく、選択を正しくする

つまる所、選択において正しい結果を求める必要はない。

選択において重要なことは、

自身の内側から湧いてくる強い意思に従い、選択することではないだろうか。

多くの人は、選択という場面において正解の選択を求めるあまり、

怖気付き、貴重な人生の選択を他者に渡す。

そして、自身の所持するこの世で最も貴重な時間すら他者に笑顔で差し出すのだ。

どうして、金銭は人に渡さないのに、

もっと価値の高い、自身の時間を簡単に手渡してしまうのか。

心の平穏を得るには、結果の奴隷になってはいけない。

自身の内側に従うだけでいい。

それさえ心に留めておけば、選択という場面でするべきことは一つ。

自身の内側の声に耳を傾け、それに従う。

そして、その選択が最良になるために行動するだけだ。

自身の強い意志により選んだ選択であれば、それを正しくしようとすれば、

爆発的なエルネルーを出せるだろう。

それでも上手くいかないことはたくさんある。

それみたことかと答案用紙を見終わった人間から指摘される。

そんのものは放っておけば良い。

選択が正しくなるために尽くしたのであれば、

次の選択の際には、最良にできるようになっているだろう。

心の平穏さえあればいい。

結果なんてものはどうでもいい。

ただ、赤子のように自身の内側の強い意志の声に従い、行動し続ければ良い。

そして、その意思を良いものとするために少しばかり学ぶだけでよいだろう。

自身の内側から湧いてこない、選択は苦痛でしかない。

最も貴重な自己の時間を普通や常識といった概念に騙されては、

決して搾取されてはならない。